小型SAR衛星 “StriX”
Synspectiveの小型SAR衛星は、政府が主導する革新的研究開発推進プログラム「ImPACT」の成果を応用した独自の衛星です。従来の大型SAR衛星と同等に近い性能をもったまま、小型・軽量による低価格化をはかることで多数基生産が可能です。
昼夜・天候の影響を受けず地上を観測できるSAR衛星の特長を活かし、安全かつレジリエントなインフラ構築や効率的な資源利用、自然災害や安全保障領域における情報インフラの構築など、地球規模の課題を解決していきます。
衛星開発コンセプト
顧客と社会のニーズを反映した衛星開発
Synspectiveは、お客様やコミュニティーとの対話を通して、社会や顧客の要望を反映した衛星の開発を推進しています。これには、多角的な研究活動やフィードバックの収集、潜在的なユーザーやステークホルダーとの密接なコミュニケーション、そして多様な専門分野のエキスパートとの協力が求められます。
この取り組みのねらいは、災害対策や対応の改善、地球環境や気候変動のモニタリング、持続可能なインフラの開発・維持等の現在の社会が抱える様々な課題にタイムリーに応えることです。通常5~10年要する衛星開発では、衛星を打ち上げたときには既にニーズが変わっています。Synspectiveは、これらの社会課題に対する深い洞察力を活かし、それぞれの目的を効率的・効果的・タイムリーに達成するための高度な技術と能力を有した衛星を開発し、社会に提供しています。
次世代機のための革新的R&D
次世代の合成開口レーダー(SAR)衛星では、画像の解像度向上、再訪問周期の短縮、広域・多地点撮像が優先されます。
優れたSARセンサーの導入により、鮮明な画像が得られるようになり、地球の微細な変化を把握し、環境要素の詳細な監視が可能になります。
また、SAR衛星の再訪問周期を短縮すれば、地球の活動的な変化をより迅速に把握できます。これは災害対応、都市計画、農業といった分野における有益な洞察を提供し、頻繁なデータの収集を通じて科学者が進行中の問題をより詳細に監視し、潜在的なリスクを減らすための迅速な対応が可能となります。
さらに、広域・多地点の撮像により、多くの顧客・ニーズへの対応が可能になります。弊社の衛星の特徴の一つは、小型衛星でありながら大型の太陽電池とバッテリ、さらには大容量のデータレコーダを搭載し、小型衛星としては広域・多地点を撮像できることです。今後もその能力向上を追及していきます。
カスタムメイドから多数機生産へ
上記のように再訪周期短縮を実現するためには多数機を軌道上に配備する必要があります。そのため、多数機生産に向けた工程や生産技術の確立が急務です。
これまでの衛星製造は、それぞれの衛星に与えられたミッションを実現するために一つずつ製造されていました。しかし、それには時間がかかり、費用も高騰します。しかし、多数機生産が実現すれば、複数の衛星を一度に製造することが可能となり、製造過程が迅速化し、コストも削減されます。
グローバルモニタリングを実現するコンステレーションの構築
小型SAR衛星群によるコンステレーションを構築することで、緊急時にはほぼリアルタイムでの現地画像の取得が可能となり、これによって災害対応の能力強化が実現します。即座の情報提供により、被災地の評価の精度向上が期待でき、避難や救援活動に対する迅速さと効率性が向上します。さらに、SAR技術を用いることで、森林破壊や地盤沈下、海面上昇など気候変動に関わる問題に対する有意なデータを収集することができます。これらは全て、持続可能な政策の策定や実施には欠かせません。
また、コンステレーションは天然資源管理にも寄与します。加えて、土地の活用や植物の成長、土壌の湿潤度のモニタリングを行うことにより、持続可能な農業の推進と食糧安全保障の確保に貢献します。さらに、伐採や鉱業、漁業の不法行為を防止し、資源の持続可能な利用を支援します。
しかしながら、コンステレーションそのものの持続可能性を図るためには、エコフレンドリーな材料の使用を促進し、効率的な電力制御システムを導入すること、さらにはミッション完了後の適切な廃棄方法の確立が重要となります。また、国際組織や政府との連携は、資金調達や運用だけでなく、コンステレーションの利益を享受するのが難しい地域やコミュニティへのアクセシビリティの提供にも重要です。